[製品レビュー] グラギア キボコ2.0 -希望を叶えてくれるバックパック-

2025.03.27
トピックス

レビュー:希望を叶えてくれるバックパック(林 岳児)

旅客機撮影に適したカメラバッグとは



カメラバッグを選ぶ基準は何か?

私の場合「バックパック」であることが重要である。

私の撮影する旅客機の写真は、撮影場所が多岐にわたる。自然風景と旅客機の絡みを狙うには、山の上や、道路から離れた未開の荒地に足を踏み入れることが多い。足元が悪いなら、やはり両手を空けておけるバックパックが優れている。長い距離を歩く時は、背負いやすく、できるだけ軽い方が良いだろう。

一方で、旅客機撮影における、使用レンズの特性にも触れておきたい。一般的に航空機の撮影は、望遠レンズを使用するイメージが強いかもしれない。確かに私も、フルサイズ換算で最大1000mmまで使用している。しかし、全長70mにも及ぶ旅客機を至近距離で撮影するには、14mm前後の超広角レンズの出番もある。撮影場所が限られ、自らが前後して画角を調整できないため、超広角から超望遠まで、焦点距離のバリエーションが必要である。「あのレンズを持ってくれば良かった…」と現地で後悔しないためにも、カメラバッグには多くのレンズを入れておきたい。

2024年に日本で発売開始されたGura Gear(グラギア)。その中で私が使用している「キボコ 2.0 30L+」は、これらの希望を叶えてくれた。その魅力・特徴を紹介したいと思う。

特殊素材を採用した軽量設計

初めてGura Gearに触れた際の印象は、とても軽いということである。これは、バッグの生地に採用されている「X-Pac® VX-21」の恩恵である。X-Pac®は、軽量でありながら強度に優れた素材であり、ヨットの帆で世界一のシェアを持つ、アメリカのDimension-Polyant社により開発された。
「キボコ 2.0 30L+」の重量は1.9kg。同等の容量を持つ一般的なバックパックは、概ね2.5kg程度であり、約25%軽量である。
また、背中に当たる部分には、クッション性が高く立体的なメッシュパネルが採用されている。特に腰に当たる部分が強化されており、身体へのフィット感も良い。軽量設計と相まって、「歩きやすく、疲れづらい」を実感する事ができる。

バタフライスタイルと、長玉が入る収納力の高さ

「キボコ 2.0」の大きな特徴となっているのが、メインコンパートメントを左右2つに独立させ、それぞれ個別に開閉することができる「バタフライスタイル」を採用したことである。必要な箇所のみを開けるため、屋外での機材出し入れ時に土埃などの侵入を最小限に抑えられるのが良い。
また、左右それぞれのコンパートメントの長さにも余裕がある。
私が使用する「CANON EF500mm F4L IS II USM」に、EF→RFマウントアダプターを介し、EOS R5を取り付けた状態で、そのまま収納できるから驚きである。その状態で更に、逆側のコンパートメントには、望遠ズームレンズにもう一台のボディ、そして広角レンズにテレコンバーターも…といった具合に収納することが可能である。この場合、焦点距離は24mmから1000mmまでをカバーすることができる。
そして、左右に独立したコンパートメントは、付属のディバイダー(仕切り)を使用した機材収納のアレンジのしやすさにも繋がっている。左右それぞれで、その日のミッションに応じて仕切りを付けたり外したり…といったアレンジを気軽にできるのはありがたい。

左から、EOS R5、マウントアダプター、EF500mm F4L IS II USM(写真左)、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM、EOS R6、RF24-70mm F2.8 L IS USM、EXTENDER EF1.4×III、EXTENDER EF2×III(写真右)を収納。

機材収納アレンジ:2泊3日の撮影旅

左から、2泊3日分の着替え、EOS R5、RF24-70mm F2.8 L IS USM、バッテリー充電器、RF14-35mm F4 L IS USM(写真左)、付属のレインカバー、RF70-200mm F2.8 L IS USM、EOS R6、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM(写真右)を収納。加えて、タオルや旅行用の洗面セットを収納する余裕有り。超望遠が必要ない撮影であれば、バックパック一つで身軽に旅することができる。

細部に宿る、機能性と使いやすさ

フロントパネルには、左右それぞれに小物類の収納スペースが確保されており、バッテリーやフィルターなどを収納できる。中身の見えるジッパー付きのメッシュポケットが合計8ヶ所あり、小物類の整理整頓がしやすい。
メインコンパートメントのジッパー裏側には、目につきやすいブルーの下地が施されており、ジッパーの閉め忘れに気づきやすい。筆者は以前使用していたバックパックで、ジッパーを閉め忘れてレンズを地面に落とした経験があるため、この気遣いはとてもありがたい。

バッグ全体は比較的スリムな形状であり、人の多い場所や電車など、公共交通機関を使った移動もしやすい。
別売りで、ポーチのラインナップも充実している。写真は上から、Gura Gear エトセトラ M、エトセトラ S、エトセトラ XS。

収納力と機動性を兼ね備えたGura Gear キボコ 2.0シリーズ。これまでの常識を覆す、新しいバックパックが日本にやってきた。

林 岳児 (Takeru Hayashi)

1992年 埼玉県生まれ。

旅客機の撮影をする中で、次第に各地の空港が持つ個性に惹かれ、自然風景や四季の中で独自の表現を探求する。
2024年、個展「Majestic Airport」を開催。

Instagram
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ウェブサイト
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GuraGear(グラギア)について

Gura Gear(グラギア)は、フォトグラファーやクリエイターが心地よく機材を持ち運び、クリエイティブな冒険をより豊かにするためのバッグブランドです。
ブランドの原点、はじまりであるカメラバックパック「Kiboko(キボコ)」は、2008年に開発されました。
2019年にアップデートされた「Kiboko 2.0(キボコ 2.0)」が発売され、時代のニーズに合わせてデザインなどを見直し、再設計されました。機材の収納とスムーズな取り出しやすさに重点を置き、機能性にこだわり抜いたカメラバッグです。
キボコ 2.0は、アウトドアシーンからアーバンシーンまで、さまざまな環境での撮影をサポートします。