[製品レビュー] オーシー - Osee G7 Pro 少人数撮影を支える「最適解」

2025.08.22
トピックス

中国・北京にオフィスを構える、映像制作用モニターおよびスイッチャーブランド、Osee Technology Ltd.(オーシーテクノロジー)。

オーシーは、画質や操作性に優れた映像制作用モニターを提案しながらも、競争力のある価格帯を維持する努力により、コストパフォーマンスにも優れたモニターを製造しています。クリエイターの創造性を最大限に引き出すアイテムは、使いやすさと高い信頼性で評価を得ています。
今回は、ノンフィクション映像作家の伊納達也氏に、オンカメラモニター「G7 Pro」の使用感を教えていただきました。

「撮影用の外部モニターは何がベストなのか?」というのは、自分にとって長年の悩みの種でした。

世界中の映画や広告などのハイエンドな撮影現場で使われている定評のあるメーカーを選ぶのがもちろん最も確実な選択肢です。しかし、私のように少人数での撮影をメインに活動している映像作家や、もしくは撮影だけを専門にやっているというより「カメラも回すディレクター」のような立場の人間にとっては、コスト的にも全てを最高峰の機材で揃えることは現実的ではなく、実際そこまでの性能を求めない現場も多くあります。一方で「安物買いの銭失い」になってしまうのも避けたいところで、安ければ安いほどいいと考えて機材を選んでも、現場で安定した撮影ができなかったり、求めていた機能が使えなかったりするのでは本末転倒です。

そうなると問題は、「どのあたりのグレードを狙えばいいのか?」という点です。
外部モニターは特にその見極めが難しく、私自身、ずっと選定に悩んできました。

そんな中、数年前に出会ったのがOsee(オーシー)というメーカーでした。Oseeのモニターは高価すぎないミドルレンジの価格帯でありながら、自分が求めている機能性や色の精度を一定以上満たしてくれており、特に「Lilmon 5(リルモン 5)」はほぼ全ての撮影に持っていくほどよく使うモニターとなりました。5.5インチで最大輝度1000nits、HDMIのin/out端子を両方備えているというちょうどいいスペックでありながら、重量もわずか212g。機材バッグの隙間に常に入れておくのに最適で、地方や海外への移動が多く、さらに音声や簡単な照明機器も運びたいという私にとっては、まさに「ちょうどいい」モニターでした。

一方で、最近ではフルサイズセンサーのカメラを使用することも増え、広角レンズでも被写界深度が浅くなる場面が目立ってきました。こうした状況から、被写体にしっかりフォーカスが合っているのかを確認するために、5.5インチよりも大きいモニターが必要だと感じるケースも多くなりました。そんなタイミングでちょうど登場したのがOsee「G7 Pro(G7 プロ)」。導入を検討していたところ、日本での代理店が銀一さんになったということで実際に使わせていただく機会を得ました。

Osee G7 Proの大きな特徴のひとつは「高輝度モニターである」という点。
最大輝度が3000nitsとなっており、直射日光下でも画面が見やすく、屋外での撮影にもしっかり対応。実際の使用では、室内の撮影では10-40%程度の明るさの設定で十分で、屋外の晴天下でどうしても見にくいという場合にMAXまで上げるというのが良い使い方かなと思います(輝度を上げると電池の消耗は早くなり、さらに熱を持ちやすくなるためファン音も大きくなるという点からも、普段は輝度を抑えて使うのが現実的)。
ファンノイズについては基本的には非常に小さく、温度が上がってきた時に大きくなってくるというイメージです。ファンの動作はAutoだけでなく、温度で設定もできるため、手動でもある程度制御が可能になっています。

もう一つの大きな特徴が「USBケーブル経由でカメラをコントロールできる(※)」という点。対応カメラに限られますが、有線接続するとモニター上からカメラの設定や録画を行うことができます。Sony FX3を接続してみたところ、収録コーデックやAF/MFのモード、電池残量などのステータスが表示されました。
さらに便利だったのがタッチAF機能。7インチの広い画面でピントを合わせたい場所をタップするだけで、しっかりフォーカスが合います。これまでの小型モニターでは難しかった、小さな被写体へのAF合わせも、かなりやりやすくなりました。そして、録画中はモニター全体に赤枠が表示される機能もあり、Recし忘れや逆Rec防止にも有効です。
※カメラコントロールは、モニターにNP-Fバッテリーが接続されている場合に限り有効です。
※対応カメラは、こちらの商品情報をご参照ください。

高輝度表示で見やすい 
対応カメラのカメラコントロール
タッチ操作で確認、設定が可能

細かな部分でも使い勝手の良さが随所に感じられました。例えば、画面の一部を拡大して見たいとき、モニターをピンチするだけで拡大することができ、必要な部分を必要なサイズで即座に確認できるのは快適です。

またボディのデザインも、端子類が側面ではなく背面にまとまっている点が好印象。私は撮影中のちょっとした移動中にモニターにケーブルを繋いだままカメラバッグに入れることもあるのですが、側面に端子があるとバッグの壁に接続分が当たりやすく、ケーブルへの負担が気になることもありました。端子がモニターの背面側にまとまっていることでその心配が少なくなるのは安心感があります。

背面のHDMI端子 
SDIとUSB-C端子

ここまで使ってみて、Osee G7 Proはあらゆる面で「ワンマンオペレーターにちょうどいいモニター」になっていると感じました。Sony FX3やCanon R5IIなどの動画撮影にも使われやすい小型ミラーレスカメラの多くをサポートし、カメラ本体だけだと操作しにくい部分を補完し、さらに価格帯としてもちょうどいいラインに落とし込んでくれているという意味で、少人数体制での撮影が多いビデオグラファーにとって、まさに“ちょうどいい”スイートスポットを突いた製品となっています。
撮影現場で求められる機動力と信頼性、そのどちらにも応えてくれるバランスの取れた一台。少人数撮影を支える「最適解」のひとつと言っていいかもしれません。

伊納 達也(Tatsuya Ino)プロフィール

1988年、愛知県生まれ。
東映シーエム株式会社で制作進行として勤務後、映像制作プラットフォーム「Vook」の前身である株式会社adoirの立ち上げに参画。2014年より株式会社umariに所属し、地域や社会に根ざした様々なソーシャルプロジェクトの映像ディレクションを担当。2019年からは栃木県鹿沼市に拠点を移し、映像ディレクターとして活動。
現在は、「地域・家庭・会社といった既存のコミュニティが絶対的なものでなくなっていく中、人はどのように新しいつながりや生き方を築いていくのか?」という問いを軸に、ドキュメンタリー作品を中心とした映像制作を行っている。

inaho Inc.
https://www.inahofilm.com/

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7インチの高画質なオンカメラモニターです。
3000nitsの超高輝度、3G-SDI/4K HDMIの入出力、カメラコントロール(対応機種に限る)、多彩な電源入出力など、多くの機能を盛り込んでいます。
10bit 処理による再現性の高さや視野角の広さ、各種スコープ類など、オンカメラモニターやフォーカスモニターとして充分な性能を発揮します。

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