[製品レビュー] ロード アンバサダーレビュー

2023.11.08
トピックス

最新の技術を取り入れた高品質なマイクに定評がある、オーストラリアのオーディオメーカー「RØDE Microphones(ロードマイクロフォンズ)」。
映像作品のクオリティアップに欠かせない動画撮影用マイクから、スタジオでの音楽制作にも選ばれているミュージックマイクなど、幅広いラインナップを取り揃えています。
それぞれに特徴があり価格帯もさまざまで、使用用途によって適切なマイクをお選びいただけます。
SNSや配信用の動画撮影はもちろん、ロードの音質・品質はプロの現場でも評価され、活用されています。

ここでは、映像・音楽制作の第一線で活躍をしているロードアンバサダーの皆さんから届いた、活用事例や製品レビューをご紹介します。

RODEアンバサダー
Case1: 久連石由文(Yoshifumi Kureishi)・録音技師
Case2: 鈴木佑介(Yusuke Suzuki)・ビデオグラファー
Case2: 古川健司(Kenji Furukawa)・サウンドエンジニア
関連動画
プロが語る、RØDEマイクの魅力

RØDEアンバサダー case 1


ロケーションに特化した「NTG5」

 2019年12月に鮮烈なデビューを飾った「NTG5」。NTG3 と同じRF バイアステクノロジーの搭載により、悪条件下の現場にも強く、高性能。NTG3 よりも長さは約5cm 短く、重さも76g と軽くて扱いやすい。普通ならばマイクを購入すると同時にいろいろなアクセサリーも揃え
なければならないが、NTG5 はキットとして売り出しているため、マイクグリップやウインドシールドなど、ほとんどの物が付属しています。まさに、「この価格にして、このクオリティ!」な、NTG5!実際私も気に入っていて、発売当初から映画やドラマの現場に投入しています。

 今回は私のNTG5 の使用例を紹介したいと思います。主な使い方としては、オープンエリアで撮影する時のロケーション(室外)用のマイクとして使用しています。私がこのような使い方をする理由は3つあります。まず前述したようにRFバイアスなど悪条件下にも強い回路が使用されていることにより、雨などの多湿な状況でも安心して使用できる点。また音響特性の面からも、周波数特性は中音域から高音域にかけて特に味付けはなく、低音域に関しては100Hz 辺りからなだらかに減衰している点。

 そして指向特性は、指向軸裏の音( 指向面の後ろから入ってくる音のこと) を最小限に抑える特性になっている点。

 これらの特性によりターゲットとなる音源を自然な音でしっかりと録音でき、余計なノイズを軽減できるので、ロケーション用のマイクとして選んでいます。
 特に重要視しているのは音響特性と指向特性の面からです。なぜ音響特性と指向特性を重要視するのかもう少し詳しく説明します。音響特性、つまり周波数特性は低域の減
衰ポイントの違いにより、ターゲットとなる音源をマスキングしてしまう低音域のノイズを少なく録音できます。指向特性は、指向面から入ってくる音が限られるため、ターゲットとなる音源以外の音(ノイズ)が少ない状態で録音できます。このように余分なノイズが少ない音で録音できることにより、耳障りな音が少なく、聴き取りやすい状態の音が得られます。私の場合、整音作業においてより聞きやすくブラッシュアップするためにノイズ除去の作業をするのですが、その手間と時間を軽減できたり、省くことができるのです。
だから私は、NTG5 をロケーション用のマイクとして選んでいます。

ちなみに、屋内の収録では「NTG3B」をメインで使用しており、撮影環境によって使い分けています!

NTG5 ロケーションレコーディングキット 銀一オンラインショップ
NTG3B 銀一オンラインショップ

久連石 由文 (Yoshifumi Kureishi)

1970 年 愛知県名古屋市生まれ
1990 年 アオイスタジオ株式会社 入社
2020 年 フリーの録音技師として活動

北野武監督作品をはじめ、北村龍平監督、三木孝浩監督などの作品に参加。  
近年では、北野武監督「アウトレイジ 最終章」、石川慶監督「蜜蜂と遠雷」、三木孝浩監督「アキラとあきら」、久保茂昭監督「ゴールデンカムイ」などに関わる。                  
第41回 日本アカデミー賞 優秀録音賞受賞。  
第43回 日本アカデミー賞 最優秀録音賞受賞。 
第14回 Asian Film Award 最優秀音響賞受賞。

RØDEアンバサダー case 2


転ばぬ先のVideoMic

 あたりを見回せば動画コンテンツだらけの昨今。さまざまな人が動画の撮影、発信をするようになりました。テレビ
会議なども当たり前になり、ここ数年でさらに動画が身近になりました。ただ、気になるのは「音」です。
 せっかく面白いコンテンツなのに、音が聞き取りづらい、音が割れている、など残念なことが多いです。テレビ会議の打ち合わせも先方の音声が聞き取りづらかったりノイズが多かったり、反響音などが邪魔したり、純粋に音声の出力が弱くてストレスを感じたり正直イライラすることが多いなと思います。
 動画が当たり前の時代、音声について意識を高めるのはもはやマナーの一つだと思います。とはいえ、日常的にショットガンマイクやラベリアマイクを使うのは難しいと思いますが、たった一つのアイテムとちょっとした工夫で音は圧倒的に綺麗になります。

 それは、カメラの上にマイクを付ける、またはPCにマイクを接続する、というシンプルな方法です。RØDE には「オンカメラマイク」の定番、VideoMic Pro+ があります。
 発売から長い時間が経っていますが、ロングヒットを続けているマイクです。一眼カメラで動画撮影する時のベストパートナーです。カメラとは、3.5mm ステレオミニ端子で接続します。ショックマウントがマイクの振動を抑え、カメラ由来のノイズを切り離してくれます。高音質なのはもちろん、低周波のカットなどの設定もでき、ステレオでLR にレベル違いの音声を収録することも可能です。
このお陰で、万が一音が割れてしまっても、片方のチャンネル(R)がレベルを抑えて収録してくれているので、仕事で重宝します(編集作業は必要ですが)。また、カメラの電源のON/OFFとマイクスイッチが連動しているので、マイクの電源の消し忘れ、つけ忘れがなくなり、撮影でのミスが減ります。電源も充電式のバッテリーの他、市販の単三電池2本でも稼働するため、撮影現場でバッテリーが切れても、慌てることなく単三電池を入れることで撮影が続行できます。動画撮影を行う人にはとても助かります。

 最近発売されたVideoMic NTG というマイクもあります。VideoMic Pro+ より小型軽量ですが、きちんと綺麗な音を録ることができます。こちらも同じようにショックマウントが装備され、カメラの電源に連動して動作し、マイクのレベルをマイク後部のダイヤルで調整することができます。マイク本体にUSB-Cポートが付いていて、内蔵バッテリーへの給電のほか、PCと接続することでPC用のマイクとしても使用できます。スタンドなどを使えば卓上で綺麗な音声を入力可能です。また、小型なので、カバンに入れ
て持ち歩くこともできます。動画コンテンツの撮影のほか、ビデオ会議など配信にもおすすめしています。
 オンカメラマイクは2m 程度の距離であれば、かなりクリアに音を拾ってくれます。カメラが遠くなったら、マイクのケーブルを延長して被写体の側に置けば、よりクリアな音が収録できます。
 VideoMic Pro+ / NTG を導入することで、みなさんのテレビ会議、動画ライフの大きな助けになってくれるでしょう。身だしなみを整えるのと同じように、綺麗な音声を身に纏ってみませんか?

ビデオマイク プロプラス 銀一オンラインショップ
ビデオマイク NTG 銀一オンラインショップ

鈴木 佑介 (Yusuke Suzuki)

1979年 神奈川県生まれ
日本大学芸術学部 映画学科 演技コースを卒業

在学中に撮られる方(俳優)から撮る方へ興味がシフトし映像制作の世界へ。          
TV-CF 専門の撮影スタジオ勤務を経て、2004年独立。今でこそ当たり前となった企画から演出、
撮影、編集までをワンストップで行う、現在のビデオグラファーの制作スタイルを当時から実践。    
近年ではフリーランスの映像作家として活動する傍ら、雑誌やWeb 媒体での執筆、企業・写真館への動画セミナーをはじめ、日本の動画文化の向上に力を入れている。

RØDEアンバサダー case 3


■楽器から声まで、さまざまな音に使える新しい「NT1」
RØDEアンバサダーの古川健司です。
今回は、2023年に発売された「NT1(第5世代)- NT1 5th Gen -」を実際に使った感想をお伝えします。

まずはマイクのセットアップをします。ポップフィルターをつける前の写真です。
金色の丸いマークがある方が正面で、いろいろ文字が書かれている方が裏面です。
マイク本体自体はそれほど重みはなく、ショックマウントは金属でしっかりとしたつくりで、重厚感があります。
全体的には少し重いかなぁという感じです。

次に、ポップフィルターをつけた写真です。
ポップフィルターとは、マイクに直接風が当たらないようにするためのものです。
声を収録しているときに破裂音(パピプペポ)などを発音すると勢いよく風がマイクに当たり、低音の大きなノイズとして収録されてしまいます。そのノイズを防ぐために取り付けるものです。
コンデンサーマイクを初めて購入する人には、このポップフィルターが付いているモデルが非常に便利です。
通常は別売で、ポップフィルターをマイクに向けた状態でマイクスタンドにセッティングするのですが、思うような位置に届かなかったりして最初は苦労することが多く、なかなか設置が難しいです。
ですが、NT1(第5世代)に同梱のショックマウントにはポップフィルターを簡単に取り付けることができるようになっているので、セッティングが非常に便利です。

次は実際に接続してみます。
最初は今まで通りのアナログで接続してみました。
付属のXLRケーブルは6m、キャノン端子がノイトリック製なので非常に安心感があります。
プリアンプはRØDE AI-1を使用しました。収録するDAWはMac上のPro Toolsです。
今回は声を収録してみました。
聴いた感じは明るく少しキラキラした印象ですが、高域は痛い感じではありません。 そしてほんの少し低域が物足りないかなーと言う印象です。
なので、少しマイクに近づいてみました。そうすると近接効果の影響もあり、きちんと低音が拾えました。
RØDEのコンデンサーマイクのフラグシップモデル、NT2000と比べると、NT2000のほうが音の密度が高くどっしりとしています。ただ、NT1(第5世代)の音色感は同系統で、RØDE直系のスムーズでシルキーな感じを受け継いでいます。
マイクの機能を限定しているため、単一指向性のみでPadやLoCutフィルターは無しですが、USB-C接続搭載で32Bit Float収録可能。このUSB接続が非常に便利です(32Bit Float収録の説明はここでは省略させていただきます)。

今度はNT1(第5世代)をUSB-Cで接続してみました。
Macでの接続は簡単で、OSで認識します。
マイクゲインはOSのAudio MIDI設定、もしくはRØDE Centralで設定できます。

今回は、RØDE Centralでゲインを設定してみました。
聴いた印象ですが、AI-1を使った時よりもほんの少し高域が落ち着いている感じです。
SNは、ごく僅かですが良くなっている気がします。

そしてこのマイク最大の売りであるUSB接続での32Bit Float収録のレベル設定を、誤って過大入力した時に歪まないか、ゲインを極端に上げて試してみました。
録っている時からメーターは赤に点灯していて気が気ではありません。通常であれば音が歪んでいる状態です。波形もピークが削られたように表示されています。
この収録したファイルをノーマライズ処理で通常のゲインまで落としてみました。

すると、歪むことなく問題ない声が聞こえてきます。
つまり、ゲイン設定を普通の感じで設定しておけば、拍手や笑い声などの急なピークでレベルオーバーしても大丈夫、と言うことになります。
逆に小さく収録してもUSB接続のマイク本体のSNが非常に良いので、後でゲインを持ち上げても問題ありません。
なお、最大入力音圧が142dB SPLなのでほとんどの大音量の楽器でも歪まずに収録することができますが、レベルオーバーした時に一手間かかるので、ある程度きちんとゲイン設定することをお勧めします。
この機能と音色で初心者でも扱いやすく、また非常に手に入れやすい価格帯のマイクです。楽器から声まで、さまざまな音に使えると思います。

NT1(第5世代) 銀一オンラインショップ
AI-1 USB オーディオインターフェイス 銀一オンラインショップ

古川 健司 (Kenji Furukawa)

1969年 東京都生まれ
日本工学院専門学校 音響芸術科 卒業
1990年 株式会社アバコクリエイティブスタジオ 入社
2011年 独立してフリーランスエンジニアとして活動

バンドからオーケストラまで幅広い音楽を扱う、レコーディングエンジニア。映画・ドラマ・アニメ・舞台などの劇伴の収録・MIX を数多く手掛け、年間500曲以上の収録・MIX を行っている。また、劇伴だけでなく、アバコクリエイティブスタジオ所属時からさまざまなアーティストの作品に携わる。
仕事では大編成のレコーディングが多いが、エレクトロ系が好きなため、打ち込みとオーケストラが融合した楽曲を得意としている。

関連動画


【ロードのマイクって実際どうなの…?】プロが語る!RØDEアンバサダートーク
RØDEのアンバサダーとして活躍するプロフェッショナル3人が登場!
録音技師、ビデオグラファー、サウンドエンジニアという異なる立場から、RØDEの魅力について語ります。
数あるマイクメーカーの中からRØDEを選ぶ理由、幅広いラインナップからオススメするマイク、そして使いこなすポイントなどなど、録音でお悩みの方にも役立つトークが盛りだくさん!
是非、ご覧ください。