[製品レビュー] シンクタンクフォト アンバサダーレビュー(小貝 哲夫 / 中西 敏貴 / 二神 慎之介)

2024.02.16
トピックス

長年にわたり、世界中のフォトグラファーに愛用されているカメラバッグやローリングケースを開発し、プロフェッショナルフォトグラファーに向けて新しい提案を続けている、アメリカの「シンクタンクフォト」。
同社は、常に変化する世の中の潮流に対応しプレミアムな製品を提案し続け、その洗練されたトラベルギアは、あらゆるニーズを叶える多用途性と高い耐久性を備え、カメラバッグ・トラベルバッグの水準を高めています。
ここでは、常に第一線で活躍をしているアンバサダーの皆さんから届いた、活用事例や製品レビューをご紹介します。

thinkTANKphotoアンバサダー
小貝 哲夫(Tetsuo Kogai)
中西 敏貴 (Toshiki Nakanishi)
二神 慎之介 (Shinnosuke Futagami)

小貝 哲夫(Tetsuo Kogai)


[ 作品撮影時 ] 使用カメラバッグ・機材
バッグ
バックライト18
カメラ・レンズ
OLYMPUS OM-1
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8


2014年にマインドシフトギア製品が日本に紹介されるとすぐに「ローテーション180°パノラマ」を使い始めました。バックパックをおろすことなく、カメラ機材を収めたベルトパックを回転させてアクセスする構造がユニークです。マインドシフトギアは、カメラと自然を愛するアクティブなアウトドアフォトグラファーのためのコレクションです。大自然の中に分け入るには、そのためのギアと軽快なフットワークが欠かせません。しかし多くのカメラバッグは撮影機材を収納するのが前提で、アウトドアに必要なギアを収納するスペースまで考え抜かれた製品に出会うことはなく、フラストレーションが溜まっていました。前年からマイクロフォーサーズに乗り換えていたので、コンパクトなシステムとの相性は抜群でした。ベルトパックに数本のレンズとアクセサリー、バックパックに食料やバーナーなどを押し込んで、いろいろな場所に出向きました。

あれから10年間が過ぎ、この間さまざまなバリエーションが登場してラインナップを充実させてきました。そして大きな変化も起こりました。今までのマインドシフトギアはシンクタンクフォトの弟分的な位置付けでしたが、2023年よりシンクタンクフォトのブランドに統合され、そのコンセプトはそのままに、製品ロゴもシンクタンクフォトに順次変更されていくでしょう。かなりニッチだったマインドシフトギアのコンセプトが、シンクタンクフォトのブランドの中でより多くのフォトグラファーに注目されることになるのは、歓迎すべき変化です。

私の一番のお気に入りは「バックライト26L」です。ウエストベルトを固定した状態で片側のショルダーストラップを外し、バッグパックを体の前に回してリアパネルを開けてアクセスするユニークなモデルです。急斜面や水場、泥濘(でいねい)地などでバックパックを降ろさずにレンズ交換ができるのは大変便利です。

サイズは26Lの他に18Lと36Lがあるので、スケジュールや行動範囲に応じて機材をチョイスして使い分けています。カメラバッグには珍しいウッドランドグリーンがお気に入りで、私は3サイズともこのカラーで揃えています。撮影には1本でも多くのレンズや予備ボディなど、たくさんの機材を持って行きたくなるのはフォトグラファーの性です。しかしバックパックが重くなれば行動も制限され、シャッターチャンスを逃してしまうこともあるでしょう。被写体や撮影環境に応じて幾つかのマインドシフトギアを使い分けるのがおすすめのスタイルです。
ミニマルな機材でパフォーマンスを大切にしたいアクティブなフォトグラファーのためのバックパック。それがシンクタンクフォト「マインドシフトギア」コレクションのDNAです。

小貝 哲夫(Tetsuo Kogai)

1960年 東京生まれ

体育大学卒業後、青年海外協力隊に参加し世界の広さを知る。
帰国後パラグライダー販売業の傍ら、世界中を旅してまわった。
1999 年フリーランスとして独立、自らを人生、興味、趣味の中を旅する「Traveler」と称し、その交差点で仕事をするというコンセプトの「CROSSROAD」を主宰。パラグライダー専門誌を中心にアウトドア、旅、もの、レスキュー、ミリタリーなど守備範囲の広いフォトライターとして活動中。ユーコン準州の野生動物や極北の景色を撮り続けることをライフワークとしている。

中西 敏貴 (Toshiki Nakanishi)


[ 作品撮影時 ] 使用カメラバッグ・機材
バッグ
ファーストライト 46L+
カメラ・レンズ
Canon EOS R5
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM


僕の撮影スタイルは二つのパターンに分類される。一つは車で移動しつつ風景を撮影していくというもので、これは長年継続してきたベースとなるスタイルだ。もう一つは、機材を背負って歩きながら撮影するというもの。森や山、時には川沿いを歩きながら自然に向き合っていく。どちらのスタイルであっても、持っていく機材の数はそう変わることはなく、どうしても沢山のレンズとフィルターなどを詰め込むことになる。thinkTANKphotoの「ファーストライト46L+」は、そのどちらのスタイルにも合わせやすいカメラバッグだ。背負いやすさは登山用バックパックのそれに近いものがあるし、収納力は大きなカメラバッグを凌ぐほど。相反する要素を高い次元で融合してくれているのが、このバッグの最大の特徴だといえる。また、 thinkTANKphotoには小物の整理に便利なアイテムが多くラインナップされているのも嬉しい。ちょっとしたことだが、こうしたところに慮できるのがthinkTANKphotoの強みと言える。

中西 敏貴 (Toshiki Nakanishi)

1971年 大阪府生まれ

2012年に撮影拠点である北海道美瑛町へ移住。大雪山系の原生風景をメインフィールドに、北海道で生きてきた人々と自然との関わり方を探る旅を続けている。

写真展
2020年 9月 「Kamuy」(キヤノンギャラリーS)
2023年12月 「地と記憶」(IG Photo Gallery)

二神 慎之介 (Shinnosuke Futagami)


[ 作品撮影時 ] 使用カメラバッグ・機材
バッグ
ファーストライト 46L+
カメラ・レンズ
Nikon D750 + Nauticam ハウジング
AF-S Nikkor 16-35mm f/4G ED VR + INON Z240×2


「ファーストライト」シリーズは、私が大口径の望遠レンズを使った撮影をするようになって以来、ずっとメインのカメラバッグだ。
新しく発売された現行モデルは、開発にあたってのメールのやりとりや、プロトタイプでの使用テストを経て、何年もかけてやっと手元に届いた、私にとって非常に思い入れ深いものになっている。歩いて被写体を探す自分にとってカメラバッグに欠かせない重要な要素は二つ。『大きな機材をストレスなく出し入れできること』『背負って歩いても疲れづらい作りであること』。この二つを高い次元で実現していることはもちろんだが、今回のモデルでは、さらに細かな心配りがなされている。

まず、取り外しが可能なトップポケット。これは普段登山用のバックパックで移動している人間は、バッグの上部に雨具や防寒具、行動食など細かなものを入れていることが多いだろうから、そのままの感覚で使える。また、撮影のみの場合や、カメラの取り出しが頻繁でそれを優先したい場合は外すこともできる、ユーザーのニーズに応えられる設計だ。

フロントポケットは、ファスナーによって収容量を変化できる設計で、これも荷物の量が変化しやすい行動派のフォトグラファーにはありがたい。他の気室開閉用のファスナーと取手の形状が違うのは、とっさの判断で間違わないように、と私自身が製作チームにお願いしたものだ。また、ウェストベルトには、左側にモバイルバッテリーやカメラの予備バッテリーなどが収納できる小さなポケット、右側は別売りのポーチ等を着脱できる形状になっており、私はクマスプレーの装着位置として重宝している。

一眼レフ時代は、撮影時そのままの状態で収納できる「ファーストライト46L+」が最もよく使うモデルだったが、ミラーレスになって、望遠レンズも小型化が進み、「35L+」タイプも重宝している。フィールドでももちろんだが、飛行機や船等での長時間の旅路にはサイズ的にこちらの方が向いているかもしれない。
以上述べてきたように、細かな配慮が詰まった「ファーストライト」シリーズだが、導入を検討される方は、ぜひ実際に背負ってみてほしい。しっかりしたベルトの作り、重量が分散される設計。そのバランスの良さこそが、フォトグラファーをたすける、このカメラバッグ最大の魅力なのだと思う。

二神 慎之介 (Shinnosuke Futagami)

1977年 愛媛県生まれ

写真家。フリーランス転向後は、ライフワークとして北海道の「森のヒグマ」をメインの被写体に撮影活動を続ける。広告や雑誌への素材提供をする傍ら、映画の劇中写真集や教科書などへの写真の提供、エッセイの執筆なども手掛けている。https://www.sinh11.com/

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